LPガスの流通について
成分から見ると、LPガスは、天然ガス、ガソリン、灯油、軽油及び重油と同じ「炭化水素類」です。炭化水素とは、炭素(C)と水素(H)との化合物を言います。
天然ガスは炭素数が1〜2の炭化水素であり、LPガスは炭素数が3〜4の炭化水素で、いずれも常温・常圧ではガスです。また、炭素数はガソリン、灯油、軽油、重油の順に増え重い成分となって、これらは常温・常圧では液体です。
LPガス・原油・天然ガスなどの化石エネルギーは、太古より太陽の恵みを受け繁殖した動植物が地中に埋没し、長い年月を経て分解され、地層の背斜構造(山の形になった部分)に蓄積されたものです。また、石炭は樹木が水中で炭化したものです。LPガスは、次の方法で生産されます。
1. 採掘された原油の中にあるボイルオフガスを分離・抽出
2. 採掘された天然ガスの中にあるコンデンセートガスを分離・抽出
3. 石油精製過程等で生成されるものを分離・抽出

なお、LPガスは、更に分離され「炭素数3のプロパン」と「炭素数4のブタン」に分けられて製品化されます。
LPガスは、液化石油ガスと呼ばれていますが、石油からも天然ガスからも生産することができるガス体エネルギーです。世界のLPガス供給の約6割は油田や天然ガス田からの随伴ガスです。

LPGオーシャンタンカー
輸入LPGは、低温で液体にしたLPGをLPG専用タンカーで日本に運んできます。日本に運ばれた低温LPGは、日本の低温輸入基地に貯蔵され、次に常温で圧力をかけた液体状態でタンクローリーに積まれ、自動車用はLPG自動車スタンド、産業用は各工場、都市ガス用は都市ガス会社、家庭用や業務用は充填工場でLPGボンベに詰めてご家庭や業務用のお客さまに届けられます。
LPGは、何かあっても安心してLPGをご利用いただけるよう備蓄が義務づけられており、現在LPGメーカーに義務づけられている「民間備蓄50日」に、2010年までに「国家備蓄30日」が加わり、日本のLPG備蓄は80日分となります。
一般家庭などの比較的小口消費者に対するLPガス供給システムには、個別供給システムと、導管供給システムがあります。導管供給システムはさらに、法律規制の区別により小規模導管供給システムと簡易ガス供給システムに二分されます。
個別供給システム

個別供給システム
つまりは、お客さまが必要とされる場所、される時に供給が可能なエネルギーがLPガスということです。

LPガスの配送にはトラックが活躍
導管供給システム
導管供給システムは、特定のLPガス供給設備から道路下に埋設された導管を経由して各家庭などへガスを供給する形態です。LPガス使用量は、個別供給システムと同様に消費先に設置されたガスメータでカウントされた数量をもとに計算されます。
なお、LPガスによる導管供給システムは、法律上の区分で、供給規模(消費先70戸が区分点)によって、小規模導管供給と簡易ガス供給の2つに分けられます。
小規模導管供給
簡易ガス供給
バルク供給システム

バルク貯槽(よこ型)
バルク供給システムとは、消費先に設置した貯槽または容器に、LPガスバルクローリから直接充てんするものです。貯槽には主に地下式と地上式の2種類があり、容量・形状はかなりのバリエーションがあるので、設置場所の状況に応じて最適なものを選択できるようになっています。
LPガスの使用量は、消費先に設置されたガスメータでカウントされた数量をもとに計算する場合と、バルクローリに設置された充てん質量計により計算する場合の2種類があります。